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【獣医師監修】猫の慢性腎不全 3つの効果的な治療法を解説

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以前に飲水量や尿量が異常に増える多飲多尿についてお話しました。

多飲多尿はいろいろな病気のサインである可能性が高いので日ごろから注意して観察して、一時期よりも確実に量が増えた場合は速やかに動物病院を受診するようにしましょう。今回は多種ある病気の中から特に猫ちゃんで問題になることが多い「慢性腎不全」について解説します。

 

 

 

 

概要(慢性腎不全ってなに?)

慢性腎不全(慢性腎臓病)は猫にとって一般的な疾患で、心臓病・腫瘍(ガン)とならんで中~高齢の猫がかかり易い病気です。慢性腎不全は両側または片側腎臓の機能・構造的な異常が原因によらず3か月以上継続している状態と定義されます。慢性腎不全は早期に診断し、治療をスタートすることで、生存期間やQOL(QualityOfLife=生活の質)を維持・改善できることが明らかになってきています。とくに食事療法は初期の腎不全にも有効性が示されています。

発生率

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10~15歳の猫でおよそ10%(10頭に1頭)

15歳以上の猫では発生率は20%を超えます(4~5頭に1頭)

平均寿命の増加に伴いこうした慢性老齢性疾患にかかる猫の割合は年々増加傾向にあると考えられています。さらに注意してほしいところは「10歳以下の年齢であっても慢性腎不全に罹患する可能性がある」という所です。

「ウチの子はまだ若いから大丈夫。」と油断してしまうと早期発見のタイミングの逃すことになり治療開始も遅れることになりますので、日ごろから健康状態の把握に努めるようにしましょう。少しでも慢性腎不全に関連する症状がある場合には速やかに動物病院を受診することをおすすめします。

症状は?

特徴的なものは、多飲多尿、脱水、体重減少、貧血、食欲低下、嘔吐、便秘など。さらに末期になると尿毒症による神経症状などを呈するケースもあります。最も飼い主さんが気づきやすいものとして「最近お水をたくさん飲むようになった、その分たくさんおしっこをするようになった」という変化があげられます。元来水をあまり飲まない生き物である猫が異常なほど水を飲むことは体に変調をきたしている分かりやすいサインであり、なおかつ腎不全以外の病気の可能性もありますので絶対に見逃さないようにしましょう。

診断するには?

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検査の基本は血液検査

腎機能の指標である尿素窒素クレアチニンの項目が重要で、この2項目の数値が基準を超えて高ければ高いほど腎機能の低下(=腎不全)が顕著であると診断できます。ただ、この尿素窒素・クレアチニンは腎機能が70~80%ダウンしてきた頃にようやく上昇し始めるかなりのんびりな性質があります。最近ではより早期に腎不全の兆候を捉えられる項目としてSDMA(対称性ジメチルアルギニン)が検査可能になりました。このSDMAを含めて検査することで超初期(見た目の症状が何もない段階)のステージを検出することができます。

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クレアチニンの数値によるステージ分類

ステージ1~4まで段階的に病気を分類しており、ステージ4が最も重度な腎不全と判断できます。

より早い段階で病気であることが分かれば治療も早期に始められますからその分有利になりますね。

 

治療方法は3つ

治療の大きな柱は3つ。それぞれを組み合わせて総合的に腎臓をケアしていくことがとても重要。

腎臓用食事療法食(フード)

食事療法の特徴はタンパク質の制限、ミネラルの一つであるリンの制限、ナトリウム(塩分)の制限がされていることです。高タンパクの食事は腎臓から排泄される際に尿細管やネフロンといった重要な構造物を傷つけてしまいます。さらに、腎機能低下時にはリンが体内に蓄積されやすくなります。そうすると体内のカルシウムと結合して身体のいたるところに石灰が沈着することになってしまいます(腎臓に沈着するとさらなる機能低下を招くことに…)。ナトリウムの排泄能も低下するので高血圧傾向になります。これらを予防するためにも療法食を与えることは極めて重要です。

 

輸液(点滴)

続いては点滴。皮下補液と言って背中の皮膚の下に短時間で点滴剤を入れる方法がポピュラーです。元気食欲の有無や血液検査の数値と相談して点滴の回数や量を決めていくことになります。基本は動物病院で行いますが、回数が多くなり通院が難しくなってきた場合には飼い主さんご自身がお家で皮下点滴をすることもあります。治療費などは病院によりまちまちですが1回あたり¥2000~3000くらいでしょう。

投薬

腎性高血圧の予防・改善や腎臓への血流を増加させる目的で「アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)」に分類されるお薬が処方される場合があります。腎臓自体が傷つくことから保護する役目もありますので上記2つの治療法と組み合わせていくことがほとんどです。

腎不全は治らない

治療において重要なポイントは「腎臓への傷害を減らすこと」「まだ機能している腎組織の保護」の2点です。

慢性腎不全と一度診断されると残念ながら完治は見込めません。

いかに「まだ残存して機能している腎組織を長く生かしていけるか」がQOLの維持と最終的な寿命に直結するといってもいいでしょう。治療と定期的な血液検査を繰り返しながら、愛猫のQOLを損なうことなく長生きさせてあげましょう。

 

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